【東京】12集中口述個別レッスン
本講座の概要と特徴
口述試験まで約1カ月というタイミングで、2日間にわたり集中的に口述個別レッスンを行います。本試験前には、このレッスンのほかには口述模試を残すのみとなります。昨年も、早々、全ての枠が埋まった人気のレッスンですので、受講希望者は早めにお申し込みください。
*お申し込み方法
1.新橋ゼミ事務局宛てにEメール(info@ipc-simbashi.com)にて事前申し込みをしてください。
2.メールのタイトルは「集中個別レッスン事前申し込み」としてください。
3.下記の中から希望日時を選択ください(第3希望まで)。空き時間であれば、いつでも受講可能な方は「いつでも可」と記載して下さい。
4.折り返し、事務局又は担当講師から受講の可否についてメールを返信します。
5.受講可能後に、下記カートからお申込みの上、お振込を完了させてください。なお、本レッスンは、口述試験の直前期ということもありますので、キャンセルはご遠慮くださるようお願いします。
<申込状況>*埋まった時間帯から取り消し線を付していきます。
9月22日(土)
13:00~13:40
13:45~14:25
14:30~15:10
15:15~15:55
16:05~16:45
16:50~17:30
17:35~18:15
18:20~19:00
9月23日(日)
13:00~13:40
13:45~14:25
14:30~15:10
15:15~15:55
16:05~16:45
16:50~17:30
17:35~18:15
18:20~19:00
担当講師 山内 博明
時 間 13:00~19:00
(回数)
スケジュール 9月22日(土)・23日(日)
場 所 新橋ゼミ事務局(新橋6丁目11番13号 ル・グラシエルBLDG.6-6F:都営三田線御成門駅3分、都営大江戸線大門6分、JR新橋駅7分)
定 員 1日8名
料 金
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選択科目の答練・ゼミ等で扱った問題と本試験問題のポイント
著作権法について直前答練やゼミ等でどのような問題を扱ったかを公開します。
そろそろ出題されるだろうと言って何度も取り上げた「共同著作物」、また二次的著作物が出題されたときにはここまで考えるべきと言った「43条」、質問が非常に多かったため模試の講評でわざわざ説明した「著作権法上の請求」など、これまでの講義・答練で取り上げた指導内容をきちんと理解していれば、おおよその正解にはたどり着ける問題だと思います。
また、常に厳しく言っている、「当てはめを丁寧にすること」が求められ、付け焼刃のインプットでは太刀打ちできない、しっかりした理解が求められている問題でもあります。取り上げた答練問題を引き合いに出しつつ、本試験問題のポイントを少々説明しておきたいと思います。
本試験の問題と論点は以下の通りです。
[H24問題]
政治記者Aは、昨今の政治情勢を大胆に分析した論文αを、親しい記者Bとともに、1年にわたり、月刊誌に連載した。論文αの執筆は、AとBとが話し合って各回のテーマを決め、隔月ごとに交代で素案を作成することとし、毎月、素案をもとに内容について二人で話し合って、お互いの担当部分がわからなくなるくらいまで表現を直したり加筆したりすることによってなされた。以上を前提に下記の問いに答えなさい。
(1) 証券会社Cは、顧客への情報提供として、論文αの特定の回の文章をそのまま、メールで顧客に配信した。この場合、Aは、Cの行為に関して、どのような著作権法上の請求をなしうるか。
(2) 大学受験予備校Dは、全国模擬試験の試験問題として、論文αの一部を翻案して使用した。Aは、Dの行為に関して、どのような著作権法上の請求をなしうるか。
(3) Aは、論文αを一冊にまとめて書籍として出版することをBに持ちかけた。Aは、すでに出版してくれる出版社を見つけており、その出版社の経営状況には何ら問題はない。Bは、時間の経過により論文の内容が陳腐化していることを理由に、これに反対している。著作権法上、Aは、Bに対してどのような請求をなしうるか。
[H24公表論点]
(1) 共同著作物の概念(2条1項12 号)、共同著作物の著作者の権利行使(117 条)、複製権(21 条)、公衆送信権(23 条1項)の理解を問う。
(2) 翻案権(27 条)、二次的著作物に関する原著作者の権利(28 条)、譲渡権(26 条の2)、著作権の制限規定(36 条、43 条、47 条の9)、同一性保持権(20 条1項)とその制限(20 条2項)の理解を問う。
(3) 共同著作物の著作者の権利行使(65 条)に関する理解を問う。
まず、共同著作物と117条については、「模試」「直前答練第3回」「要点整理講座第8回(答案練習編第2回)」で出題しています。他にも共同著作物に見せかせた結合著作物で出題したりと様々な形式で出題してきました。模試については、直接117条のみを問う形でしたので、模試の問題と出題意図の記載を掲示しておきます。
<模試・設問(3)>
αは、秋葉原の地図に専門の観点から防災情報を書き込んである防災に特化した地図冊子であり、保険会社Aが、顧客に配布するため、職員のBに命じて、地域防災を専門とする大学教授Cと共同で製作したものである。防災に興味のない層にもアピールするため、αの各頁には地図の横に有名漫画家Dの描いたキャラクターβの挿絵を、許諾を得て入れており、マニアの間でも話題になった。
以上を前提に、以下の問いに答えなさい。(中略)
(3)Hは、裁断済みのαの複製物をFから譲り受け、自己の顧客に有償で貸与している。
C及びDはそれぞれ単独でHに対して、当該行為の差止めを請求することができるか。
<出題意図と論点>
設問(3)は、昨年の本試験でもあった、ピンポイント的な出題に倣っています。聞きたい内容は未出題の共同著作物ですが、通常だと共有関係により複雑な問題となってしまうので、これまで敬遠されてきたところがあると思われます。しかし、テーマを絞って出題することにより過度の複雑化を避けることができるので、1つの設問で確認的に問われる可能性は十分あると思われます。また、117条による単独差止請求の可否については、必須科目の理由づけ(保存行為説)と混同したり、65条との違いが分からなかったりと、これまで出題してきたときは間違いが非常に噴出するところでした。短答でも過去に何度も問われたところだったのですが、近年は出題されていなかったので、ここらで満を持して出題される可能性もあると思われます。
確認的に出題したつもりだったのですが、実際に提出された答案を見ると半分近くの人が117条を挙げられていなかったり、間違った記載になっていたりしました。本問をきちんと復習した人はかなり救われたのではないかと思われます。
設問(1)については、顧客への情報提供として配信しているので私的使用目的の複製(30条1項)には該当しないこと、αは雑誌に掲載して発行された政治上の時事問題に関する論説(39条)に該当するも学術的な性質を有するため(他にもメール配信のような公衆送信権は制限される行為ではないという理由もあります)、いずれの制限規定にも該当しないことを述べてから、侵害であることを断定し、どのような請求ができるかを記載する必要があります。このあたりも、制限規定に該当しないから書かないのではなくて、問題文の中で当てはめができるものがあれば当てはめた結果、制限規定には該当しないことを述べるという流れを講義で説明した通りです(模試においても有償貸与のため38条4項には該当しないことが書けていない答案が多数ありました)。
また、制限規定の前に支分権を特定することも大事だということを教えています。設問(1)については「顧客にメールで配信した」とありますから、これがどのような支分権に該当するのか、その当てはめも必要です。顧客は「特定多数」と考えられるので「公衆」に含まれ(2条5項)、公衆送信(2条1項7号の2)に該当するので、公衆送信権(23条1項)の対象となるという流れです。前述の39条は、公衆送信のうち、放送・有線放送のみ制限規定に含んでいて、それ以外の公衆送信については制限されないことも該当しないことの理由となります。
一方で、わかりにくいですが、月刊誌の掲載論文をメール配信するのですから、その過程においてデジタル変換するという複製行為(2条1項15号)が介在していることになり、複製権(21条)も問題となります。
このあたりの行為の特定については、「要点整理講座第13回(答案練習編第3回)」で下記のような問題を出しています。
<要点整理講座・答案練習編第3回>
アマチュア合唱団の指揮者Aは、次回演奏会で取り上げる曲の楽譜を楽譜店で購入した。この楽譜には、Bが作詞した歌詞αと、Cが作曲した楽曲βが記されている。
以下の設問に答えなさい。(中略)
(3)歌詞αはドイツ語で書かれており、曲のイメージを意識してもらうため、合唱団のメンバーEは、日本語に翻訳した歌詞γを作成して、これを団員のアドレスにメールで一斉送信した。Eの行為は、著作権の侵害を構成するか、論じなさい。
<答案構成>
4.Eの行為の著作権侵害(設問3)
(1)著作権の対象となる著作物:歌詞α・翻訳した歌詞γ
(2)著作権の対象となる行為:翻訳しメールで一斉送信
①翻訳(2(1)⑪) →翻訳権(27)
②公衆送信(2(1)7-2)
→(a)二次的著作物の公衆送信権(23(1))
→(b)原著作物の公衆送信権(28、23(1))
(3)①該当する制限規定なし
②(a)自身が著作権者
(b)該当する制限規定なし
(4)結論:γについては自身の権利であり著作権侵害を構成しない
αについては著作権は制限されず、翻訳権(27)、原著作物の公衆送信権(28、23(1))の侵害を構成
設問(2)については、営利で行う試験問題の制限(36条1項・2項)と、その場合の同一性保持権(20条1項)侵害の有無でした。これについては、「直前答練第1回」で同じテーマについて出題しています。
<直前答練第1回>
小説家Xは新作の小説αの原稿を出版社Yに引渡し、Yとの間でαに関する複製権及び譲渡権を譲渡する契約を締結した。(中略)ある会社の人事担当者Zは、Xの小説のファンであったため、Yのサイトから書き出し部分をダウンロードして読んでいた。その後、自社の入社試験に利用することを思いつき、αの書き出し部分を、一部を空白にした穴埋め問題として掲載し、応募者に配布した。なお、掲載にあたってはXの表示はしていない。
αがまだ発売前であることを前提として、以下の問いに答えよ。
(1)Yの行為が著作権法上誰のいかなる権利を侵害するか、説明せよ。
<出題意図と論点>
まず第1問として、制限規定を問うとともに、47条の9や48条、49条といった周辺の規定を絡めた出題としました。さらに、著作者人格権は毎年何らかの形で出題されているので、特に未出題の公表権を中心に出題しています。
制限規定のうち36条はH19で1度、30条もH14で1度出題されたきりであること、30条と47条の2はH21で改正されてから2年ほど経過していることから、ピックアップしています。
<答案構成>
3.設問(2) Zの行為
(1)①αの書き出しのダウンロード→複製権(21、2(1)⑮)私的使用目的(30(1))のためYの複製権は非侵害
②入社試験への掲載
(a)掲載及び配布→複製権・譲渡権(21、26-2)→試験問題としての利用(36(2)、47-9)会社利用は営利となるが制限はされるため非侵害
(b)目的外での公衆提供(配布時49(1)①)21条のみなし複製→36(2)により制限され非侵害
③Xの表示をしておらず出所明示義務違反(48(1)③)→ただし著作権侵害には影響を及ぼさない
(2)①公表権(18(1))→同意を得ていない公表(かっこ書)
②氏名表示権(19(1))→出所明示義務もあることから省略できる場合(19(3))には該当せず侵害
③同一性保持権(20(1))→穴埋めはやむを得ない改変(20(2)④)に該当し非侵害
本試験の問題はこれにもう一捻りを加えて、翻案権の制限を組み込んでいます。二次的著作物の利用について43条の列挙事項の検討が必要なことは、「直前答練第3回」において、38条が43条に列挙されていないため、編曲による演奏はたとえ非営利であっても条文上は侵害になることを問うた出題をしています(長くなるので問題は割愛して答案構成を掲載しておきます)。
<直前答練第3回・答案構成>
3.設問(2)について
(1)γの演奏 →γ演奏権(22)→消滅 β演奏権(28、22)
来場者が少なくて公衆に該当しなくても、聞かせる「目的」
ただし、非営利目的の演奏(38(1))
γは制限されるが、βに対しては編曲しての演奏となり、制限されない(43に38列挙なし)→侵害
(2)著作者人格権侵害となる事情はなし
設問(3)は、【経済学書籍事件】(東京地判H12.9.28)がネタになっており、少々ニッチな分野のため知らない人も多いと思いますが、いつも言っているように判例を知っているか否かではなく、条文の問題であって、117条と65条との違いをきちんと理解したうえで、65条3項の「正当な理由」に検討して当てはめられれば、評価してもらえるはずです。
<要点整理講座・第6回レジュメ>
③ 共有著作権の行使は全員の合意が必要(65条2項)
(a) 過半数の合意でよいとする民法252条の修正 →64条と同旨
(b) 行使:→消極的に権利を保全する保存行為を意味せず差止請求権の行使は単独で可能(117条参照)
(c) 正当な理由なしに合意の成立を妨げることはできない(65条3項)
→合意成立妨害について正当な理由を疎明する必要(共有者は、同意を拒む共有者を被告として、意思表示を命ずる判決を求めることができる(民事執行法174条))
正当な理由の例:許諾先の財政状態悪化による印税支払いが焦げ付く危険性、許諾先とトラブルがあり紛争解決を優先
問題文では、「その出版社の経営状況には何ら問題はない」とあり、上記例のように「正当な理由」の例には当たりません。一方で「時間の経過により論文の内容が陳腐化していること」を理由に反対しており、これは前期裁判例によって、他の様々な理由と比較衡量して正当な理由に該当し得るとされた理由ですが、あくまでも諸般の事情を総合的に判断して認められたものであって、陳腐化のみをもって正当な理由に該当するとしたものではありません。つまり、わざわざ正当な理由の例に明確に当てはまるものを除いているのは、結論はどちらでも構わないので、なぜそう考えたかという論理過程を見たかったのだろうと思います。
設問(3)で難しいのは、どのような請求ができるかということです。上記レジュメにあるように、同意を拒む共有者に対しては、意思表示を命ずる訴訟の提起を求めて、同意判決を得てから持分処分や著作権行使を行うという流れになるのですが、講義でも詳しくは説明しませんでしたし、おそらく忘れてしまっている受講生がほとんどと思われます。出版するにあたっては著作権のみあればいいので、氏名表示権など著作者人格権の不行使特約を結んだうえでの著作権の譲渡請求、ないしは許諾の請求といった程度の記載があれば十分だと思われますし、あまり気にしなくてもよいと思います。。
上記設問(3)の請求内容については、書けたという人は皆無だと思われますので、この点については相対的に判断されるところだと思いますが、設問(1)と(2)についても、「どのような著作権法上の請求をなしうるか」とありますので、その点について説明しておきます。
90分試験となって以降、これまでに「侵害を構成するか」「どのような請求ができるか」が交互に出題されており、今年は「請求」の順番なので、しっかりと請求内容まで理解しておく必要があると、模試の解説講義でも話したとおり、本年は請求内容の年となりました(かといって、来年が「侵害」で簡単なになるという保証はありませんが)。
請求が問われたH22年の過去問を用いて要点整理講座で説明したように、すでに終了した行為について差止請求はできません。H22年では、この点について「なお、住宅Dの所有者は、乙ではなく、乙に設計を依頼した施主である。」と入れて、乙に対しての差止がもはやできないことを示唆していたのですが、今回も設問(1)の問題文の中で「論文αの特定の回の文章」と入れて、差止ができないことを示唆しています。これは、背景に、反復継続して発行されている場合に将来の行為の差止めまで認めたレアケースとして【ウォールストリート・ジャーナル事件】(東京地判H5.8.30)があり、そのようなケースを排除する意図だったものと思われます。
従って、継続性のあるインターネットへの掲載などと異なり、複製も配信も完了してしまっているため複製権・公衆送信権侵害に基づく差止請求はできず、配信した回につき、同権利の侵害に係る自己の持分に基づく民法709条の損害賠償請求(損害が発生しているかは不明ですが、少なくとも114条3項によるライセンス相当額の損害は認められます)、不当利得返還請求(民703条)がA単独で認められることになります(117条)。
同様に設問(2)についても、翻案権(27条)・二次的著作物利用権(28条、21条)侵害に基づき同様の請求が、同一性保持権(20条1項)侵害に基づき、損害賠償請求(慰謝料相当額)や不当利得返還請求に加えて、名誉声望回復措置請求(115条)が認められる余地があります(なお、115条については117条に列挙されておらず、この点については、直前答練第3回の解説レジュメ脚注8に「(前略)112条については117条に列挙されていますが、115条については見解は分かれています(立法者は異なる内容の謝罪文が請求されることは望ましくないとしていますが(加戸・逐条講義p.712)、訂正広告であれば各人が単独で行使しても問題はないとする考え方もある(中山・著作権法p.413))。」とある通り、どちらでも結構です)。
重要なことは、すでに終了している行為につき差止請求(現在の行為の停止請求)はできないが、損害賠償請求(過去の行為に対する賠償請求)はできる、ということをきっちりと記載することです。
この点につき、損害賠償請求は民法上の規定であるため、著作権法上の請求としては書かないほうがよいという頓珍漢な指導をしているところもあるようですが、「著作権侵害を元にした請求」なのですから、当然必要になります。問題文が「著作権法上の」と限定をしているのは、著作権法に規定された権利以外の権利、例えばプライバシー権とか肖像権といったものを想定してのことです(例えば有名人の写真をサイトに掲載したという設定においては撮影者が著作権侵害に基づいて差止等可能であることを書いてほしいのであって、有名人が自己の肖像権等の侵害に基づいて差止等ができるといったことは問われていないということを意味しています)。
模試ではその辺を講評においてクドイくらい説明しておきました。試験前に公表したかったのですが、受講者との平仄を考えて止めておきました。試験も終了しましたので講評をPDFにてアップします。ご参考ください。
2013年 弁理士試験対策講座・ゼミについて
平素は、新橋ゼミをご利用いただきありがとうございます。
さて、表題の件ですが、論文必須・選択向けの講座・ゼミの説明会を9月28日(金)に、新橋会議室にて開催します。
参加希望者の方は、新橋ゼミ事務局まで「説明会参加希望」の旨、メール(info@ipc-simbashi.com)にてご連絡いただけると助かります。
また、近々、2013年の各講座・ゼミの開催日時をHPにアップしますが、概略下記のスケジュールで実施予定です。
論文必須ゼミ:金曜日19:00~21:50 第1期10月~12月、第2期1月~3月、第3期4月~6月
論文添削講座:金曜日問題送信 10月~3月
論文選択関連:木曜日19:15~21:45
論文必須ゼミ第3期・論文添削講座で扱った問題
論文必須ゼミ等でどんな問題を扱ったか公開します。第3期の問題は、予想問題をふんだんに取り入れると宣言していましたので、ちょっとだけ、来期へのゼミの宣伝も兼ねて、予想結果発表と行きたいと思います。
【特許I】
<第3期第7回>
(2)甲は、Xの出願段階において最後の拒絶理由通知を受けた。当該拒絶理由通知には、上記の請求項1に記載された発明が、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨記載されていた。そこで、甲は、請求項1を「カメラ機能Aを具えた携帯電話。」から「カメラ機能AとアンテナBを具えた携帯電話。」に補正するとともに、意見書において拒絶理由は解消した旨主張した。この場合において、審査官はどのように対応するか述べよ。なお、当該補正は、第17条の2第3項、4項の要件を満たすものであるとする。
(3)甲は、Xの出願段階において拒絶査定を受けた。当該拒絶査定には、上記の請求項1に記載された発明が、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨記載されていた。そこで、甲は、拒絶査定不服審判を請求すると同時に、請求項1を「カメラ機能Aを具えた携帯電話。」から「笑顔認識機能Cを有するカメラ機能Aを具えた携帯電話。」に補正し、審判請求書において、拒絶理由は解消した旨主張した。後に、出願Xは前置審査に付された。この場合において、審査官はどのように対応するか述べよ。なお、当該補正は、第17条の2第3項、4項の要件を満たすものであるとする。
<第3期第10回>
発明イ及びロをした甲は、発明イ、ロをそれぞれ請求項1、2に記載して外国語特許出願Xをした。その後、外国語特許出願Xに対して国際調査がなされ、国際調査報告書において請求項1に係る発明については先行技術の存在を理由に進歩性がないこと、請求項2に係る発明については特許性を否定する先行技術が発見されないことが示されたため、甲は、特許協力条約第19条(1)の規定に基づきイをイ1に減縮する補正を行った。その後、甲は、外国語特許出願Xにつき我が国に国内移行する際にイ1及びロについて記載されている特許請求の範囲及び特許明細書について翻訳文を作成して所定期間内に提出した。外国語特許出願Xに基づく我が国の特許出願X1に対して出願審査請求を行ったところ特許査定がなされた。一方、発明イ及びハをした乙は、外国語特許出願Xの国際公開後に、これらの発明についてそれぞれ請求項1、2に記載して外国語書面出願Yをし、外国語書面出願Yに係る外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を作成して所定期間内に提出した。その後、乙が、外国語書面出願Yに対して出願審査請求を行ったところ、イについて外国語特許出願Xについての国際公開公報を引用して第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない旨の拒絶理由が通知された。そこで、乙は、イをイ2に減縮する手続補正書を提出したところ、当該補正は第17条の2第3項の規定に違反している旨の拒絶理由が通知された。一方、考案ロ及びハをした丙は、外国語特許出願Xの出願後であって外国語書面出願Yの出願前に実用新案登録出願Zをした。実用新案登録出願Zの明細書にはロ及びハが記載され、実用新案登録請求の範囲にはハが記載されていた。
各発明及び各考案を対比すると、イ1、イ2はイの下位概念に属し、イとロとの間、及び、イとハとの間では共通の技術的特徴を有するが、ロとハとの間では技術的特徴を有していない。
以上を前提に、以下の問いに答えよ。なお、各問は断りない限りそれぞれ独立しているものとし、また、各出願は特に明示しない限り、分割、変更又は実用新案に基づく特許出願に係るものでもなく、いかなる優先権の主張も伴わないものとする。
(1) 2回目の拒絶理由の通知を受けた乙は、当該拒絶理由を解消するために、いかなる手続を特許庁に取り得るか。
(2) 乙が上記(1)の手続をしたことにより、2回目の拒絶理由が解消したが、審査官はイ2がイ1に基づいて容易に想到し得たと判断した。係る場合に、審査官が行うべき処分と、その処分について乙が全面的に承服した場合であっても特許権を取得するために特許庁に対して取り得る措置について説明せよ。
前置は今年は熱いと予想し、第3期に2回も出しました。通常、同一テーマを短期間にやらないのですが、インプット確認を意識した第7回と、実践を意識した第10回の問題を連続して出しました。
【特許II】
侵害問題は、もう、第2期までにつぶしました。ゼミ生のみなさんは書けたでしょう。均等・間接侵害も十分にやりましたしね。
【意匠】
<第3期第1回>
意匠登録出願は、特許出願との間では出願変更が認められているが商標登録出願との間では出願変更が認められていない理由について概説せよ。
なんか、そのままといっても過言じゃない聞き方で、思わず笑っちゃいました。
【商標I】
<第3期第1回>
商標法3条1項柱書の使用意思に関し、①商標登録出願時点において商標を現実に使用している必要があるか否かということ、②使用意思は他者に使用させるものとしていないことについて、各々理由とともに述べよ。
ここも、かなり似ていますね。
【商標II】
<論文添削講座の最終回>
パリ条約の同盟国であるX国の玩具メーカー甲と、おもちゃの販売・卸売を手掛ける日本の総合商社乙は、1997年4月1日~2007年3月31日までの期間、甲が製造し商標Aが付されているおもちゃを乙が日本において輸入販売する旨の総代理店契約を締結した。一方、乙は、将来、甲が日本に進出してくるだろうと見越して、総代理店契約の期間満了に伴い、2007年4月1日に商標Aと類似する商標Bについて、指定商品・役務を「おもちゃ」、及びこれに類似する「おもちゃの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(「おもちゃの小売等役務」と省略して記載してよい。)として商標登録出願をし、その約半年後に登録を受けた。乙が輸入販売していた甲のおもちゃは子供を持つ需要者の間に口コミで広がり、2009年春頃には、商標Aは甲のおもちゃを表示するものとして需要者の間で知られるところとなった。これを機に乙は、商標Aと商標Bとに類似する商標B’を自社の販売店、従業員の名札等に付して営業を始めた。その後、商標B’を付した乙の販売店の売上は急激に伸び、乙のB’は需要者の間で広く知られるに至った。それから、乙は、おもちゃの小売業に専念するために、日本のメーカー丙に商標Bの指定商品「おもちゃ」について権利を移転した。丙は、自社製のおもちゃに「乙のB」と付して製造・販売を開始するとともに、下請製造会社丁にも、商標Bを付したおもちゃを製造・販売させるべく、丁に自らが有する商標Bについて通常使用権を設定した。丁は早速、商標Bをそのまま付したおもちゃを製造・販売した。
以上のことを前提に、以下の各問に答えよ。ただし、甲の商標AはX国では未だ無名であり、甲は、乙と総代理店契約を締結する前にX国において商標A、指定商品「おもちゃ」について商標権を取得していたが、日本において商標Aに係る商標権は取得しておらず、また、商標Bの商標掲載公報発行後すぐに商標Bの存在に気付いたものとする。
(2)甲が、何らかの取消審判を請求して、商標Bの登録を取り消す場合、どの規定の取消審判とすべきか、また、請求すべきでないと考えた取消審判については、そのように考えた理由についても説明せよ。
取消審判広めに聞きました。このところ、年月日が入る問題が本試験で出ていなかったにもかかわらず、この問題を含め、第3期では年月日の入った問題がそろそろ出るであろうと予想して、年月日入りの問題ばかりを出していました。
というわけで、昨年の2問を超える大幅的中でした。