模範解答の見方・学び方(論文必須ゼミ 第1期第3回)

論文必須ゼミ第1期第3回では、本格的に講師・ゼミ生全員での討論を始めました。その中で、

1.模範解答の見方・学び方(学習効率をアップさせるために)
2.加点事項のあるひとつ上の答案を書くには

についてお話しました。

ダイジェストとして「1.模範解答の見方・学び方」を公開します。

ある論文課題の模範解答(分割出願と審査請求とが項目に挙がっています)を題材にし、なぜ模範解答がこの記載内容になっているのかを説明した場面です。この場面のポイントは、以下の4点です。

(1)見出し(項目)の立て方(見出しの有無・順番・大中小の判断)
(2)分割出願を記載するまでの流れ(解答のストーリー)
(3)各見出しの中の記載順(リーガルマインドを示す)
(4)加点事項を書くか書かないかの判断(全体最適化)

ゼミや予備校の模範解答をただ漠然とながめる人と、何を意識しながら模範解答を見るべきか知っている人と、のどちらが最終合格に近づくことができるか、議論の余地はないと思います。正しく合理的な努力の積み重ねが、来年の合格率を高めることになります。

趣旨問題の解答方法(論文必須ゼミ 第1期第2回)

論文必須ゼミ第1期第2回では、

1.近年の試験における題意把握
2.セオリーを知るだけで答案が見違える(例:否認と抗弁)
3.リーガルマインドを試験委員に示すには(例:趣旨問題の解答方法)

についてお話しました。

ダイジェストとして「3.リーガルマインドを試験委員に示すには」の中から「趣旨問題の解答方法」を公開します。

今年の論文試験の問題を題材にし、3パターンの解答方法を説明した場面です。この場面のポイントは、以下の3点です。

(1)原則・修正パターン
(2)必要性・許容性パターン
(3)対比パターン

この3パターンを、単に機械的に問題に適用するのではなく、如何にして自分のリーガルマインドを試験委員に伝えるかという観点から、選択・微調整します。

最初はなかなか上手に書けないと思いますが、今後のゼミで何度も演習を繰り返すことにより、本試験でどのような趣旨の問われ方をしても安定的に高得点を獲得できるようになります。

口述 自主トレ3分間 商標1(出願公開・金銭的請求権)

口述ゼミは、要点整理集を用いながら、口述試験対策のサポートをするゼミです。

口述ゼミ合格者の声」でコメントを頂いているように、新橋ゼミの口述ゼミは大変厳しいですが、多くのゼミ生が高い合格率(H25:100%,H26:100%)で最終合格を達成しています。

今回は、商標の口述ゼミの問題の一部をご紹介します。

【問1】
商標法における“出願公開”は何条に規定されていますか?
【答1】
12条の2です。
【問2】
どのような商標登録出願が出願公開の対象となりますか?
【答2】
原則として、全ての商標登録出願です。ただし、出願公開時に特許庁に係属している出願に限られ、放棄、取下げ又は却下された出願は公開されません(12条の2第1項)。
【問3】
国際商標登録出願も公開の対象になりますか?
【答3】
出願公開の対象になります。日本国を指定する領域指定は、商標登録出願とみなされるからです(68条の9第1項)。
【問4】
出願公開は、いつ、どのように、行われますか?
【答4】
商標登録出願後に公報の発行準備が整い次第すみやかに、所定の事項を商標公報に掲載することにより、行われます(青本12条の2。12条の2第2項本文)。
【問5】
出願公開の際に商標公報に掲載される事項を挙げて下さい。
【答5】
(12条の2第2項各号)
(1)商標登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
(2)商標登録出願の番号及び年月日
(3)願書に記載した商標(5条3項に規定するものは標準文字により現したもの)
(4)指定商品又は指定役務
(5)前各号に掲げるもののほか、必要な事項
【問6】
特許法における出願公開は、重複研究や重複投資等を防ぐことを趣旨としています。商標法における出願公開は、どのような理由から定められていますか?
【答6】
平成11年法改正により創設された金銭的請求権に関する規定により、第三者が警告を受けることが考えられ、その公示のためです(青本12条の2)。
【問7】
金銭的請求権と、特許法における補償金請求権と、の相違点を3つ挙げて下さい。
【答7】
例えば、以下のうちのいずれか3つ(参考:P454Q3~Q6、13条の2、特65条)。
(1)出願公開→金銭的請求権は不要/補償金請求権は必要。
(2)使用・実施→金銭的請求権は商標の使用が必要/補償金請求権は発明の実施は不要。
(3)警告→金銭的請求権は悪意の使用者にも警告必要/補償金請求権は悪意の実施者に警告不要。
(4)請求額→金銭的請求権は業務上の損失相当額/補償金請求権は実施料相当額。
【問8】
金銭的請求権が時効によって消滅する場合はありますか?
【答8】
はい。金銭的請求権は、損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅します(13条の2第5項、準民724条)。
【問9】
その“知った時”から3年を超えた後に商標権の設定登録がされた場合、金銭的請求権を行使することができないのですか?
【答9】
いいえ。商標権の設定登録前に使用の事実及び使用をした者を知ったときは、商標権の設定の登録の日から3年間をもって時効消滅することとなるので、その場合であっても金銭的請求権を行使することができます(青本13条の2。同5項で民724条を読み替え)。
【問10】
金銭的請求権は、いわゆる専用権の範囲に限って行使することができますか? それとも、いわゆる禁止権の範囲においても行使することができますか?
【答10】
禁止権の範囲においても行使することができます(13条の2第5項で37条を準用)。

短答ゼミ 開講スケジュール

「短答」対策のゼミを開催します。
11月6日より受講受付を開始しました(11.6更新)。

近年の合格率の低下にかんがみますと、しっかりした短答試験対策が必要です。更に、再来年(H28)の試験から、短答試験に“科目ごとの基準点”が導入され、論文試験(選択科目)から“著作権法・不正競争防止法が廃止される”ことが検討されています(参考:特許庁ウェブサイト)。そのため、来年(H27)の短答試験は更なる競争激化が予想されます。また、著作権法を選択される方は、H27年度の短答試験に合格しないと、著作権法を選択しての受験ができなくなる可能性があります。

短答ゼミ合格者の声」でコメントを頂いているように、新橋ゼミの短答ゼミは大変厳しいですが、多くのゼミ生がボーダーラインに対して余裕を持って(H26は41~49点)短答試験を突破しています。

ボーダーラインでの合格も同じ合格ですが、合格発表当日まで不安な気持ちを抱えていては、論文・口述の勉強に身が入らないと思います。自己採点の段階で「余裕で合格だ」と判断できれば、心理面でも時間面でも、他の受験生に大きく差をつけることができるはずです。

口述 自主トレ3分間 意匠1(工業上利用・新規性)

口述ゼミは、要点整理集を用いながら、口述試験対策のサポートをするゼミです。

口述ゼミ合格者の声」でコメントを頂いているように、新橋ゼミの口述ゼミは大変厳しいですが、多くのゼミ生が高い合格率(H25:100%,H26:100%)で最終合格を達成しています。

今回は、意匠の口述ゼミの問題の一部をご紹介します。

【問1】
意匠法3条は何についての規定ですか?
【答1】
意匠登録の要件です(条文のタイトル)。
【問2】
意匠登録を受けられる意匠とは、どのような意匠ですか?
【答2】
工業上利用可能な意匠です(3条1項柱書)。
【問3】
工業上利用可能な意匠とは?
【答3】
工業的な方法により量産可能な意匠をいいます(審査基準21.1.3)。
【問4】
工業上利用することができる意匠に該当するための条件は?
【答4】
(参考:審査基準21.1)
(1)意匠を構成するものであること
(2)意匠が具体的なものであること
(3)工業上利用することができるものであること
【問5】
工業上利用することができるものと認められないものの例を挙げて下さい。
【答5】
(審査基準21.1.3)
(1)自然物を意匠の主たる要素として使用したもので量産できないもの
(2)土地建物などの不動産
(3)純粋美術の分野に属する著作物
【問6】
新規性を喪失したとされる意匠、すなわち3条1項各号に掲げる意匠を、条文通りに説明して下さい。
【答6】
(3条1項各号)
 一 意匠登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた意匠
 二 意匠登録出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠
 三 前二号に掲げる意匠に類似する意匠
【問7】
3条1項各号に公然実施がないのはなぜですか?
【答7】
意匠は物品の美的外観であるため、公然実施されればすべて公知となってしまい、あえて規定する必要がないからです(青本3条)。
【問8】
3条2項において創作容易とされる意匠の類型を挙げて下さい。
【答8】
(審査基準23.5)
(1)置換の意匠、(2)寄せ集めの意匠、(3)配置の変更による意匠、(4)構成比率の変更、又は連続する単位の数の増減による意匠、(5)公知の形状や模様等をほとんどそのまま表したに過ぎない意匠、(6)非類似物品間における商慣行上の転用による意匠
【問9】
3条の2は平成18年法改正において改正されました。どのような改正がなされましたか?
【答9】
ただし書の部分が追加されました。すなわち、先願意匠の一部と同一又は類似の後願意匠であっても、先願意匠の出願の日の翌日からその公報発行の日前までに同一出願人が出願した場合は、拒絶されないこととされました(青本3条の2)。
【問10】
3条の2ただし書において66条3項の公報が除外されている理由は?
【答10】
ただし書の趣旨は、同一出願人が完成品等の意匠と部品等の意匠または部分意匠の両方の権利を取得できるようにすることなので、先願が登録されたことが前提となるからです(青本3条の2「字句の解釈」)。