論文必須ゼミ第3期・論文添削講座で扱った問題

論文必須ゼミ等でどんな問題を扱ったか公開します。第3期の問題は、予想問題をふんだんに取り入れると宣言していましたので、ちょっとだけ、来期へのゼミの宣伝も兼ねて、予想結果発表と行きたいと思います。

【特許I】
<第3期第7回>
(2)甲は、Xの出願段階において最後の拒絶理由通知を受けた。当該拒絶理由通知には、上記の請求項1に記載された発明が、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨記載されていた。そこで、甲は、請求項1を「カメラ機能Aを具えた携帯電話。」から「カメラ機能AとアンテナBを具えた携帯電話。」に補正するとともに、意見書において拒絶理由は解消した旨主張した。この場合において、審査官はどのように対応するか述べよ。なお、当該補正は、第17条の2第3項、4項の要件を満たすものであるとする。
(3)甲は、Xの出願段階において拒絶査定を受けた。当該拒絶査定には、上記の請求項1に記載された発明が、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨記載されていた。そこで、甲は、拒絶査定不服審判を請求すると同時に、請求項1を「カメラ機能Aを具えた携帯電話。」から「笑顔認識機能Cを有するカメラ機能Aを具えた携帯電話。」に補正し、審判請求書において、拒絶理由は解消した旨主張した。後に、出願Xは前置審査に付された。この場合において、審査官はどのように対応するか述べよ。なお、当該補正は、第17条の2第3項、4項の要件を満たすものであるとする。

<第3期第10回>
発明イ及びロをした甲は、発明イ、ロをそれぞれ請求項1、2に記載して外国語特許出願Xをした。その後、外国語特許出願Xに対して国際調査がなされ、国際調査報告書において請求項1に係る発明については先行技術の存在を理由に進歩性がないこと、請求項2に係る発明については特許性を否定する先行技術が発見されないことが示されたため、甲は、特許協力条約第19条(1)の規定に基づきイをイ1に減縮する補正を行った。その後、甲は、外国語特許出願Xにつき我が国に国内移行する際にイ1及びロについて記載されている特許請求の範囲及び特許明細書について翻訳文を作成して所定期間内に提出した。外国語特許出願Xに基づく我が国の特許出願X1に対して出願審査請求を行ったところ特許査定がなされた。一方、発明イ及びハをした乙は、外国語特許出願Xの国際公開後に、これらの発明についてそれぞれ請求項1、2に記載して外国語書面出願Yをし、外国語書面出願Yに係る外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を作成して所定期間内に提出した。その後、乙が、外国語書面出願Yに対して出願審査請求を行ったところ、イについて外国語特許出願Xについての国際公開公報を引用して第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない旨の拒絶理由が通知された。そこで、乙は、イをイ2に減縮する手続補正書を提出したところ、当該補正は第17条の2第3項の規定に違反している旨の拒絶理由が通知された。一方、考案ロ及びハをした丙は、外国語特許出願Xの出願後であって外国語書面出願Yの出願前に実用新案登録出願Zをした。実用新案登録出願Zの明細書にはロ及びハが記載され、実用新案登録請求の範囲にはハが記載されていた。
各発明及び各考案を対比すると、イ1、イ2はイの下位概念に属し、イとロとの間、及び、イとハとの間では共通の技術的特徴を有するが、ロとハとの間では技術的特徴を有していない。
以上を前提に、以下の問いに答えよ。なお、各問は断りない限りそれぞれ独立しているものとし、また、各出願は特に明示しない限り、分割、変更又は実用新案に基づく特許出願に係るものでもなく、いかなる優先権の主張も伴わないものとする。
(1) 2回目の拒絶理由の通知を受けた乙は、当該拒絶理由を解消するために、いかなる手続を特許庁に取り得るか。
(2) 乙が上記(1)の手続をしたことにより、2回目の拒絶理由が解消したが、審査官はイ2がイ1に基づいて容易に想到し得たと判断した。係る場合に、審査官が行うべき処分と、その処分について乙が全面的に承服した場合であっても特許権を取得するために特許庁に対して取り得る措置について説明せよ。

前置は今年は熱いと予想し、第3期に2回も出しました。通常、同一テーマを短期間にやらないのですが、インプット確認を意識した第7回と、実践を意識した第10回の問題を連続して出しました。

【特許II】
侵害問題は、もう、第2期までにつぶしました。ゼミ生のみなさんは書けたでしょう。均等・間接侵害も十分にやりましたしね。

【意匠】
<第3期第1回>
意匠登録出願は、特許出願との間では出願変更が認められているが商標登録出願との間では出願変更が認められていない理由について概説せよ。

なんか、そのままといっても過言じゃない聞き方で、思わず笑っちゃいました。

【商標I】
<第3期第1回>
商標法3条1項柱書の使用意思に関し、①商標登録出願時点において商標を現実に使用している必要があるか否かということ、②使用意思は他者に使用させるものとしていないことについて、各々理由とともに述べよ。

ここも、かなり似ていますね。

【商標II】
<論文添削講座の最終回>
パリ条約の同盟国であるX国の玩具メーカー甲と、おもちゃの販売・卸売を手掛ける日本の総合商社乙は、1997年4月1日~2007年3月31日までの期間、甲が製造し商標Aが付されているおもちゃを乙が日本において輸入販売する旨の総代理店契約を締結した。一方、乙は、将来、甲が日本に進出してくるだろうと見越して、総代理店契約の期間満了に伴い、2007年4月1日に商標Aと類似する商標Bについて、指定商品・役務を「おもちゃ」、及びこれに類似する「おもちゃの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(「おもちゃの小売等役務」と省略して記載してよい。)として商標登録出願をし、その約半年後に登録を受けた。乙が輸入販売していた甲のおもちゃは子供を持つ需要者の間に口コミで広がり、2009年春頃には、商標Aは甲のおもちゃを表示するものとして需要者の間で知られるところとなった。これを機に乙は、商標Aと商標Bとに類似する商標B’を自社の販売店、従業員の名札等に付して営業を始めた。その後、商標B’を付した乙の販売店の売上は急激に伸び、乙のB’は需要者の間で広く知られるに至った。それから、乙は、おもちゃの小売業に専念するために、日本のメーカー丙に商標Bの指定商品「おもちゃ」について権利を移転した。丙は、自社製のおもちゃに「乙のB」と付して製造・販売を開始するとともに、下請製造会社丁にも、商標Bを付したおもちゃを製造・販売させるべく、丁に自らが有する商標Bについて通常使用権を設定した。丁は早速、商標Bをそのまま付したおもちゃを製造・販売した。
以上のことを前提に、以下の各問に答えよ。ただし、甲の商標AはX国では未だ無名であり、甲は、乙と総代理店契約を締結する前にX国において商標A、指定商品「おもちゃ」について商標権を取得していたが、日本において商標Aに係る商標権は取得しておらず、また、商標Bの商標掲載公報発行後すぐに商標Bの存在に気付いたものとする。

(2)甲が、何らかの取消審判を請求して、商標Bの登録を取り消す場合、どの規定の取消審判とすべきか、また、請求すべきでないと考えた取消審判については、そのように考えた理由についても説明せよ。

取消審判広めに聞きました。このところ、年月日が入る問題が本試験で出ていなかったにもかかわらず、この問題を含め、第3期では年月日の入った問題がそろそろ出るであろうと予想して、年月日入りの問題ばかりを出していました。

というわけで、昨年の2問を超える大幅的中でした。